◆ 昆虫シリーズ 肉食獰猛なカマキリ

    ★ 肉食で獰猛

 カマキリを一見すると、ひ弱な感じに見てとれるのですが、どうしてどうしてひ弱どころじゃなく肉食性で実に獰猛な昆虫なのです。

 カマキリは、幼虫のときはカエルやトカゲなどに無抵抗の状態で簡単に食べられてしまうのです。しかし、成長するともう簡単にカエルなんぞに食べられたりしなくなります。

 カマキリは見てわかるように。、鎌のようになった前脚で他の昆虫なぞを捕食します。捕食するのは他の昆虫ばかりでなく、小動物を捕らえて食べることや、幼虫のときにカマキリを食べていたカエルやトカゲを逆に捕捉することもあり、図にのって小型の小鳥なども捕食するのですから凄いですね。

 捕食の相手は大きさにもよりますが、スズメバチ・キリギリス・ショウリョウバッタ・オニヤンマなどの大型の昆虫や蛇・蜘蛛・カエル・トカゲ・ミミズなど昆虫以外の小動物も捕食します

 捕食のやり方は、昆虫が近づいてくるとゆっくり近づき、体を左右に揺らすような動きをしながら餌との距離を測ります。そして、射程距離に入ると素早く前脚の鎌で獲物に襲いかかり捕らえるのです。捕らえた獲物は、大あごでムシャムシャと食べてしまいます。ハチの仲間だって食べてしまいます。

 ただし、捕食するものは生き餌に限られています。死んで動かない餌は食べません。そこで、動かない餌を見ると顔を近づけてじっくり餌を観察し、鎌のような前脚で餌に触り生きているか死んでいるか確かめます。 死んだ振りは見破られます。カマキリには全く通用しません。完全に死んでいれば食べませんが、死んでいても何かの拍子で動くものなら餌だと認識して食べてしまいます

 捕食の際は、鎌のような前脚でしっかりと獲物を捕らえて押さえつけ、大あごでかじって食べます。食後は、前脚で念入りに舐めて掃除をします。これらの動作を見ていると凄くて怖いですね。

         ★ 習性

 獲物を狙うとき体を中脚と後ろ脚で支えて、左右の前脚を揃えて胸部につけるように折りたたむ姿勢をとり、じっと動かずにして待ち伏せるのです。また一方では、天敵や自分よりも大きい相手に遭遇したときに危険を感じたり怒ったりすると、鎌状の前脚を大きく振り上げて体を大きく見せるため、身を大きく反らし羽を大きく開いて威嚇姿勢をとることもします。このような仕草は、ネコにもありますね。ネコも相手と対処する際背中を大きく反らしで威嚇しますね。共通しているようです。

 カマキリは飛ぶこともできるようですが、不器用だといわれているようで、これまでカマキリの飛んでるところを見たことはありません。

 カマキリに寄生する虫にハリガネ虫がいます。まだ見たことはありません。ハリガネと名前があるように、カマキリの体内から細長いハリガネのような虫がでてくるということです。

 成長したカマキリの体内で成長したハリガネ虫は、カマキリを水辺に誘導し、水を感知すると産卵のためにカマキリの体内から体をくねらせながら出てくるそうで、カマキリは衰弱して死ぬこともあります

 カマキリの特性は、動いているものはすべて餌だと思い込み、何でもかんでも襲いかかるのです交尾のときに、メスカマキリがオスカマキリを食べるといわれていますが、交尾中でもオスカマキリが動いていれば食べられてしまうということです。ただ、すべてがそうだともいえず、交尾を終えたオスカマキリは次のメスカマキリを探しに行くともいわれています。

 共食いでいわれているのは、オスカマキリの方がメスカマキリよりも体が小さいことも共食いの餌になるいわれがあるのでしょうか。昆虫や鳥などを見ていると、オスよりメスの方が体は大きいようですね。

 共食いに関してオスカマキリは、メスカマキリに不用意に近づけば共食いされてしまうので慎重に近づき交尾に持ち込みます。だが、往々にして交尾前に食べられてしまうこともあり、メスカマキリはさらに獰猛で怖いですね 一般的に、交尾中のメスカマキリは感情も愛情も情けもないのか、オスカマキリの頭から生殖器までムシャムシャと食べてしまい、カマキリの世界での悲喜劇の生涯の明暗でしょう。

 カマキリは、生まれたときから大人のカマキリと同じような姿をしています。不完全変態する昆虫で蛹(さなぎ)の期間がないのです。幼虫と成虫は基本的には似ています。脱皮するたびに大きく成長してゆき、成虫になると羽が出来ますが、幼虫のカマキリには小さな羽がついているだけで、羽を威嚇のように使うのは成虫のカマキリだけです。

    ★ カマキリの卵

 秋になるとカマキリのメスは、白っぽい泡のようなものに包まれて産卵します。泡が固まると弾力性のある厚いスポンジ状のものに包まれ外敵から卵を守ります。

 カマキリの卵のことを正式には卵鞘(らんしょう)といいます秋に卵を産んで卵で越冬し、春に孵化します。カマキリの卵への習性的な愛情は、暑さ・寒さ・乾燥・湿気・衝撃などから守ることです。カマキリは卵鞘を2~3個くらい産みます。卵鞘の中は空気を含み断熱効果があり、外気の影響をなくし冬の寒さから卵を守り抜きます。

  カマキリが卵鞘を産み付けるところは、その種類によって違いがあるといわれています。オオカマキリは、木の枝や枯れたイネなどの植物の茎などに、ハラビロカマキリは建物の壁面だとか木の幹などに産み付けるのです。今回卵鞘を見つけたところは、昨年の10月の大雨で決壊して堤防の工事用に張られたロープでした。工事が始まったと聞いて卵鞘の張られたロープの現場に行ったところ、卵鞘の産み付けられたロープは取り除かれ、卵鞘を保護することができませんでした。

 生息の状態でもカマキリによって違いがあります。ハラビロカマキリは樹上性で、街中の公園などに棲息し、草地性といわれるオオカマキリやチョウセンカマキリ・コカカマキリなどは、森林・草地・河川の川原などに棲息しています。

 カマキリの卵鞘をは、ひと言でいえば「卵で越冬・春に孵化」と、カマキリの子どもたちが冬の寒さを乗り越えて走りはじめるのが楽しみです。

    ★ 特性

 カマキリを見つけたとき茶色と緑色のカマキリがいます。この二色は生まれたときから茶色は茶色、緑は緑で変わらないのです。これは、カマキリが生まれたときから茶色と緑は5:5の割合だということです。同じ卵鞘から生まれても、育成環境を変えても茶色と緑の色合いの出現率は5:5のままで変わらないといわれています。この色合いは、カマキリが弱肉強食の世界で生き抜くために、天敵から身を守る保護色になっているのです。

 枯れ葉の多い場所には茶色のカマキリ、緑の多い場所では緑のカマキリが生存しているのです。カマキリの中で、ハラビロカマキリは緑色、コカカマキリはほとんどが茶色です。住む環境の中で生き残るための自然の摂理かもしれません。

 

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