★ 野鳥を追って

 最近、野鳥の影を追い求めている。それまでは野鳥といってもツバメ・スズメ・ウグイス・鳩といった程度で、登山で北アルプスや南アルプスに入った際、尾根などで見ることがあった。季節に合わせて衣装替えする雷鳥を見るのも登山における楽しみの一つだったが、最近は見る機会がなくなった。雷鳥の数が減ってきているのが原因かもしれない。数年前、知人から野鳥探鳥の会の入会を勧められたこともあったが、単独登山を主体に続けていることから、団体で行動するのはどうも合わないので断った

 東京方面での生活が長く、仕事柄登山以外に自然に親しむ機会などなかったが、東京を離れて自然豊かな群馬に越してきてからは自然の中に身をおくようになり、野鳥だけでなく動物や昆虫、草花などに接するようになって日々の生活パターンが変わっていった。特に、野鳥に関心を持つようになったのはちょつよとした出会いがきっかけだった。

 自宅の庭の隅にプレハブの小さな事務所を構えている。事務所の入口の近くに家族が金柑の木を植えている。その金柑の木が大きくなり、黄色の実がたくさん枝に下がっており、何気なくガラス越しにに金柑の木を見ると野鳥が実をついばんでいた。思わずデジカメでその場面を撮影した。野鳥の名はわからない。野鳥図鑑で調べてみるとヒヨドリだった。ヒヨドリは毎日金柑の実を食べに来た。ヒヨドリだけでなく、スズメも毎日きて実をついばむようになった。

 自宅は広い敷地ではないが、都心の家よりも少し満足できるのは庭の数本の木になる実をついばみに来る野鳥が多くなったことだ。鳩も子供を産んで育てたこともある。野鳥は木々があれば巣を持ち子供を育てる。身近に野鳥と会話できるような気さえしてくる。都会では考えられない野鳥との触れあいである。

 隣地に雑木林がある。柿の木・杏の木など実を持つ数種類の木が植わっている。そこには、モズやオナガ、ツグミなどが飛んでくることが多い。最初のころは野鳥の名前などはわからなかった。撮影しては野鳥図鑑で同じ鳥を探すことになる。この調べは大変だが楽しい。撮影した野鳥の動画を見ているとそれぞれの特徴があって、今では少し離れていてもある程度判別できるようになった。

 自宅の近くに川幅約200mくらいの流れ豊かな鮎川がある。群馬と埼玉・秩父の境に聳える西上州の山並みを水源とする南北に流れる川で、坂東太郎といわれる利根川に流れ込んいる。鮎川という名のとおり、昔は鮎が群れをなして泳いでいたのだろう。川の南に国道254にかかる多野橋、北にそのバイパスとなる鮎川橋がある。川沿いにサイクリグロードがあり、約2kmにわたって桜並木がつづき散歩コースにもなっている。自宅から近いものだから愛犬(柴犬)と朝夕を毎日歩くき、川を渡る柔らかな川面の風を受けながら日頃の運動不足を解消している。

 鮎川沿いの桜並木の散歩道を歩いているうちに、散歩で出会う人たちと懇意になり、会話の中から野鳥や動物、雲の話まで及んで気心が通じ合うようなっていった。雲はいろんな姿・形をしていて、寸刻に人の顔や動物の顔などに変化していく命のある生き物のようで、話のはずみで脱線してしまうのだが、雲を見あげながら天候や地震を予測したりして際限なく貴重な散歩の時間をつぶしてしまうこともある。

  ある日、流れの近くにある樹木の枝に白っぽい大きな大きな鳥がとまっていた。これもデジカメで撮影してから調べてみるとアオサギだった。高枝にとまって首だけを動かして飛び立とうともしない。カメラはアオサギの気高い孤高の姿をきれいに捉えてくれいた。翌日アオサギの出会ったときは川の中で魚を獲っているところだった。魚を獲る前の姿は差し足抜き足と慎重で、長い嘴ええ素早く魚をとらえていた。

このアオサギにもユーモラスな場面がある。川岸で川の中にニ、三歩足をそっと踏み入れた途端、もんどりうって頭から川の中に転んだのである。起き上がってから一瞬何があったんだろうというような素振りだった。ほんの一瞬の出来事だったけれど、微笑ましく抱きしめてやりたい衝動にかられた。

 このアオサギとの不思議な出会いが野鳥を追いかけるきっかけになってしまった。その後、この鮎川ではカワセミやイソシギ・シジュウカラ・コゲラ・オオタカなどの野鳥を見ることになる。鮎川は平凡で取り柄のない小さな川かもしれにが、水の流れは絶えることもなく草木も多く自然も豊かで、いつまたどんな野鳥と出会えるかと楽しみの日々をすごしている。

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