★ 抗体カクテル療養とは
2021年7月19日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第4の治療薬として、抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット」が特例承認され、COVID-19の治療薬として、重症化による死亡を防ぐことができる治療薬の開発には、非常に期待が寄せられています。
新型コロナウイルスが増殖するのを防ぐ、2種類(カシリビマブ、イムデビマブ)の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法のことです。抗体がウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質に結合し、人の細胞に侵入するのを防ぎます。
発症から7日以内の軽症から中等症、特に肺炎を起こしていない初期の患者に投与することで、ウイルスの増殖を阻止し、重症化を防ぐ効果があります。
*ロナプリーブとは、
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質に対する2種類の中和抗体、カシリビマブとイムデビマブを同時投与します。この2種類の中和抗体を混ぜて使用することから、抗体カクテル療法と呼ばれ、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害し、ウイルスの増殖を抑制する効果があります。
ロナプリーブの抗体カクテル療法は、重症化リスク因子を有し酸素飽和度93%以上の患者を対象とした海外臨床試験(COV-2067試験)より、2020年11月から米国で緊急使用 Emergency Use Authorization(EUA)が許可されています。その試験結果によると、入院または死亡に至った被験者の割合は、プラセボ群 3.2%に対しロナプリーブ投与群 1.0%で、入院または死亡のリスクを70%低下させたというものです。
★ 対 象
重症化リスク因子を有した軽症~中等症Ⅰを対象とした治療薬でありながら、入院患者しか使用できない供給システムとなっています。
投与対象となる重症化リスク因子
- 65歳以上
- 悪性腫瘍(治療による免疫不全状態を想定)
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 慢性陣腎臓炎
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 資質異常性
- 肥満(BMI30以上)
- 喫煙
- 妊娠(後期)
ワクチンを二回接種した人は、抗体カクテル療法の対象外だそうです。

★ 抗体カクテル療法の主な副作用は
薬剤を点滴中または直後に起こる有害事象(インフュージョンリアクション)は、ロナプリーブを含むモノクローナル抗体製剤と呼ばれる中和抗体薬を点滴したときにおこることがある体の反応で、過敏症やアレルギーのような 症状が現れます。
・発熱 ・悪寒 ・吐き気 ・不整脈 ・胸痛 ・胸の不快感 ・力が入らない ・頭痛 ・じんま疹 ・全身のかゆみ ・筋肉痛 ・喉の痛み など
*重篤な過敏症
中和抗体薬を点滴したときにおこることがある体の反応で、過敏症やアレルギーのような 症状が現れます。 ・全身のかゆみ ・じんま疹 ・皮膚の赤み ・ふらつき ・吐き気 ・嘔吐 ・息苦しい ・冷汗が出る ・めまい ・顔面蒼白 ・手足が冷たくなる など
*また、子どもや高齢者への投与にあたっては注意が必要とされています。
過去に注射剤などで重篤なアレルギー症状で重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方妊婦または妊娠している可能性のある方授乳中の方
*新型コロナウイルスに結合する2種類の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法、中和抗体薬と称しています。
★ 投与の効果
都内で投与後の経過について報告のあった1,048例のうち、 投与から14日以上経過している420例を分析した結果、400例(95.2%)で 「軽快」*となりました。 *「軽快」は、投与後に重い有害事象がなく、軽快と報告された数 * 「非改善」は、投与後に酸素投与など悪化したケースや、軽快の報告がなく入院継続中の数 * 投与後の経過については、抗体カクテル療法以外の要素も含まれる。(東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和3年9月9日)より)

★ 中和抗体薬治療に関する注意点
薬を通じた治療では、発症から7日以内の軽症から中等症、特に肺本炎を起こしていない初期の患者にのみ効果を有するため、新型コロナウイルス感染症患者の方全員が対象とはなりません。本薬による治療により、アナフィラキシーを含む重大な副作用が発生することがあります
参考資料
厚労省HP
東京都福祉保健局
神奈川県HP抗体カクテル療法とは(神奈川県)
中外製薬HP