★ 地震雲はあるのか
気象庁は地震雲について、雲は大気の現象であり、地震は大地の現象と位置付けている。大気は地形の影響をうけることは明らかだが、地震の映鏡をうけるといわれる化学的なメカニズムは確証されていない。形の変わった雲と地震の発生は、一定頻度に発生する全く関係のない二つの現象が見かけ上、そのように結び付けられることがあるというていどのことであり、気象庁は現時点では科学的な扱いはできない、とホームページで発表している。
だが、地震雲がないときっぱり言い切れるかと大変難しい。従って、地震雲とはどのような雲で、雲と地震はどのような関係で現れるのか、気象庁だけでなく地震研究者らからも、科学的な確証はなく、説明などもなされていないししようともしない。
これまでのデーターからは、とりあえず地震雲は存在していないといわれているが、地震雲の存在を唱える人たちに対して否定するだけの強い確信はないにひとしい。ということは、地震雲は存在するのか存在しないのかに対しての科学的結論は曖昧なまま先送りされて、地震雲は存在するということが独り歩きしている。
日本では、気象庁の発表によると1年間に震度1以上を観測したのは、概ね年間2000回程度だといわれている。平均すると一日あたり5回程度の有感地震が起きているともいわれ、震度4以上は年間に50回程度起きている(2011と2016年の地震回数は東北地震などで除く)。また、気象庁から出される地震速報は、震度3以上に限られており、毎日日本国内で起きている震度3未満の地震は公表されていない。
★ 地震はいつどこで起きるか
雲は上空の気流や太陽光などにより、珍しい形や色に見える場合がある。夜間は、正確な形状を確認することができないといわれているが、所持している夜間撮影用のスコープやカメラだと夜空に現れる雲の形状をとらえることは可能である。
形の変わった雲と地震の発生との関連は、一定程度で発生する全く関連のない二つの現象が、見かけ上結びつけられることがあるという程度のことで、科学的な扱いができないと、匙を投げた形だ。従って、いつ地震が起きるのか予知できないというのが気象庁や科学者らの見解のように推察される。
これを考えれば、地震雲の存在を唱える側からみれば、異常な雲の形態などからみて地震を予知することは許容されてもいいのではないだろうか。つまり、気象庁や地震科学者らは、地震雲の存在を否定する立証もできないというプライドを捨てて、地震研究家鍵田忠三郎氏の「これが地震雲だ」の著書の内容の地震雲の存在を認めてはいいのではないか。
★ 動物や植物は地震を予知できるか
動植物には、音・電気・電磁波・匂いなどに対する感知力が人間に比べて格段に優れているといわれている。地震の起きる前から非常に微弱で特異な音・電気・電磁波・匂いなどが、周辺の地面や大気などに現れ、それを動植物が感じ取る可能性があるのかもしれない。
しかし、動植物は地震以外の理由などによっては、普段と違った反応や行動をすることがあるが、今をもって動植物についてわかっていないことが多く、地震の前兆現象も立証ができていない部分が多い。従って、地震の前に普段と違った異常な行動や反応をすることの立証が科学的に立証できない状況であるが、過去からのデーターなどから動植物の異常な行動や状態が地震の前兆・予知だという経験則を否定することはできない。
★ 地震雲と地震の相関関係
JESEA取締役会長の村井俊治東大名誉教授は、客観的現象として地震現象には雲のほかに発光現象・井戸水の温度上昇・動物の騒ぎ・深海魚が海面に出てくること・地球や太陽、風、惑星の特殊な天体の状況・人によってはめまいや頭痛がするなど様々なことがあるといわれる。
地震雲と地震の相関関係について、地震雲に科学的根拠はないといわれているが、地震の前に地下深いところで高温高圧により破壊現象が起き、地下から電磁波や熱・非可聴音波・イオン・ラドンなどの放射性ガスが噴出するという仮説があり、それが地震雲の前兆現象として確認された事例があり、そのような現象の一つとして地震雲が発生する可能性があるといわれる。
さらに、村井名誉教授は中国・南陽師範大の郭博士が、2018年の北海道胆振地方で起きたM6.7・震度7の地震の前日に地震雲が現れていたといわれている。また、2019年の茨城県南部のM4.9・震度4の地震の7日前に地震雲が現れたと報告されている。
★ 地震雲の種類(JESEA BLOG)
過去の大地震で地震雲と報告された事例では
① たつ巻型地震雲
2018/9/ 6 北海道胆振東部地震 M6.7
2011/3/11 東日本大地震 M9.00
1995/1/17 阪神淡路大震災 M7.3
② 帯状形地震雲
2016/4/16 熊本大地震 M7.3
③ 放射状型地震雲
2004/10/2 新潟県中越地震 M7.3
④ 断層型地震雲
1993/1/15 北海道釧路沖地震 M7.5
⑤ 肋骨型地震雲
2005/3/20 福岡県西部沖地震 M7.0
⑥ レンズ状地震雲
2019/6/18 山形県沖地震 M6.7
などがある。
★ 地震研究家鍵田忠三郎氏
地震雲の存在を唱えた先駆者鍵田忠三郎氏(1922~1994)は、奈良市長・自民党衆議院議員の政治家としt活躍された傍ら、30年以上に亘って地震雲の研究をされてきた第一人者で「これが地震雲だ」という著書があり愛読者は多い。
* 地震雲とは
雲と地震雲との因果関係を30年以上に亘って研究されてきた過程で、一定の異常な細長い普段見かけない雲が晴天時に横たわるとき、きまって2日以内に地震が起きることを知るようになった。
地中の異常な地震エネルギーが雲に強く感応して、蛇状とか糸状とかの雲を作って地中に同じような大きな直線の断層状の磁場ができて地震が起きるのだ、と鍵田氏は考えるようになった。そして、この細長く棚引く雲を地震雲と名付けて地震の前兆の一つとした。
* 地震の起きる前に雲の異常現象
過去の例から、地震の前に異様な恐ろしい雲が必出現するとか、静電気が多量に発生するとか、三河大地震のときは潮の干満がなくなったとか述べられている。地震の起きる前の雲などの異常現象について鍵田氏は著書の中で詳しく記されています。
青空に白帯状のような長い雲(帯状型地震雲や断層型地震雲など*筆者注)が現れるのは地震の前兆であり、だいたい2日以内に地震が起きるといわれる。高空にでるときは地震の前兆であり、低空のときは雨の前兆、滞空時間の長いときは近くで起こり(直下型)、時間が短いときは早き地震が起きる…と。
地震例…関東大震災・三河地震・福井地震・新潟地震など。
また、鍵田氏は、信号灯の赤色のように燃え上がるような朝焼け・夕焼けとともに地震発生12時間以内に地震発生の危険信号、信号灯のだいだい色のように山頂がああ焼け・夕焼けは地震の警戒信号といわれる。
夕焼けも乱れて血のように赤いのは地震の前兆・・・・といえば、最近長野県中央部の上空の空が赤色を通り越した不気味な夕焼けがつづいていた。最初は、これぞ日本の美といわれる夕焼けかと思っていたところ、長野県中央部。奥飛騨付近で連続した地震が起きていた。
その影響か、上高地では雪崩や土砂崩れが発生して上高地への道路が遮断されて旅行者などが閉じ込められた。地震の起きる前の異常な雲の状況は数あまたあると鍵田氏はいわれている。ただ、雲を見る場合に普段見かけない変わった雲、色鮮やかな雲などを見た場合には、地震雲ではないか、地震の前兆ではないか、と想像することはけっして無駄なことではない。
地震雲で鍵田氏以外の方の地震予知の報告例では、1073年グアテマラ海域の地震がある。このときは、地震の前日に真っ赤な夕焼けが現れたという。参考に値する事例だ。