◆ 野生の生き物 マムシ

   ★ 蛇は仲間

 秋になると子供のころの運動会を思い出す。走ることは好きだけど運動会での駆けっこだけは苦手だった。自分では早いつもりでいるのに、まだ早い友達がいてどうしても勝てなかった。何とかして勝ちたいと思ってたときに、祖母から[早くなりたかったら蛇の抜け殻を首に巻くと早くなるよ]、と教えられた

 それから、運動会が近づくと蛇の抜け殻探しに駆けずりまわった。蛇の抜け殻なんてそうたやすく見つかるものではないが、見つかったときは飛び上がらんばかりにうれしかった。蛇の抜け殻を首に巻いた運動会での徒競走で初めて彼に勝ったときは、蛇の抜け殻に両手を合わして何度もお礼をした記憶がある。

 今、考えれば蛇の抜け殻を首に巻いたからご利益があったのでなく、抜け殻を巻いたことで「僕は早くなる」と自己暗示にかかってしまったに過ぎないのだが、その自己暗示が大人の今になってもかかりぱなっしでいるようだ。誰にも経験があるだろうが、ズボンに右足から入れたか、靴を右足から履いたかによってその日のゲン担ぎをしている

 自己暗示にかかったままの原点はすべて蛇の抜け殻にある。と、いってこじつけになるかもしれないが、人が嫌がる蛇に何となく愛着をもっている。蛇を直接触ったり、捕まえたりはするのは不得手だが、近場で蛇を見ることには気にしない。逆に話しかけたい気持ちになる。干支でいえば、巳年だからつい蛇は仲間だと思ってしまうことからか。

  ★ マムシとの出会い

 今、住んでいる近くに川幅約200mの鮎川がある。鮎川に沿って南北約2kmの桜並木があり、遊歩道兼サイクリングロードが並行して伸びている。この2kmは自然が豊かで四季折々の草花が咲き誇り、カワセミやシジュウカラなどの野鳥・クワガタなどの昆虫やキツネ・タヌキなどの動物や生き物たちと出会うこと数知れない。

 また、天気が良ければ西上州の山々・信州の浅間山・上越国境の谷川連峰の山並みをココロゆくまで眺望できる。このような恵まれた環境の下では、朝夕の散策は欠かせない。愛犬をお供に、腰にはデジカメをぶら下げて、カメラチャンスを楽しみながら歩くのは、無味乾燥した東京生活が長かっただけに至上の喜びがある。

 また、雲の流れや形を見るのも一つの楽しみとしている。その雲の流れを見て歩いていると、愛犬の足がとまった。前方を見ると、遊歩道の真ん中に蛇がいる。最初、アオダイショウかなと思った。近づくとマムシだった。首をこちらに向けてジッとしている。瞬時のにらめっこが始まった。こちらに悪意がないことを確かめている。

 すぐに、デジカメを取り出しマムシに「撮るよ」を声をかける。おとなしくみている。蛇は驚かしたり、刺激を与えなければ危害を加えたりはしない。マムシも含めて蛇は紳士淑女なんだ。こちらで礼をつくせば、それなりに応じてくれる。愛犬も事情を理解しており、声もたてずおとなしく待っている。デジカメの撮影が終わるころ、、マムシは動き始め草むらの中に消えていった。

   ◆ マムシの天敵

 蛇食性の動物は、獲物が蛇だから咬まれることがほとんどなく、たとえ咬まれても毒の効果が発揮しない。

 * 哺乳類….まず、人間・ネコ・タヌキ・キツネ・アライグマ(帰化動物)のほか、犬も基本的には天敵(犬やネコは咬まれても、マムシ程度の毒では死ぬことはない。咬まれて医者に診てもらっても化膿止めをもらうだけ)

 * 潜在的な天敵….マングース・ミーアキャット、このほか日本では馴染みの浅いラーテル(サバンナ最強の動物で、ライオン・象などは避けて通る)・クズリ(小さな悪魔と呼ばれている凶暴な動物、日本にはいない。ノルエー・中国・ロシア。北米などに生息している)

  鳥類….タカ目タカ科で特にノスリ(蛇食鳥で有名m鮎川の雑木林に生息している)・ハヤブサ科のチヨウゲンボウ(体を斜めにしてホバリングできる)・フクロウ・ヘビクイワシ・オオアオサギ(鮎川の河川敷に生息している)

  ◆ マムシに咬まれたら

 * 症状

 上あごの先端に2本の牙があり、この牙で咬まれると体内に毒が注入される。毒の量は少ないが毒性はハブの2~3 倍はある。咬まれた直後から数分後に焼けるような痛みがあるという(咬まれた経験がない)。咬まれた部位は腫れて紫色になり、体の中心部に向かって広がる。皮下出血・水泡形成・」リンパ節の腫れなどが認められる。

 ● 重症例….筋壊死を起こし、吐き気・頭痛・発熱・めまい・意識混濁・視力低下・しびれ・血圧低下・急性不全による血尿などが認められる。

 ● 回 復….通常の場合咬症の翌日まで症状は進展するが、3日程度で症状は改善する。しかし、局所の腫れはこわばり、しびれなどが完治するまでには約1ヵ月かかる。重症化すると、腎不全となり死亡することもある

 ★ 咬まれたときの処置

① 咬まれた傷口よりも心臓側を布などで軽く縛り安静にする(毒が全身に回るのを遅らせるため)。あわてて走ったりすると毒が全身に回りやすくなる。

② 傷口から血を絞り出すようにして毒を対外へ出す(水があれば、血えを絞り出しながら洗浄する)。口で毒を吸い出すやり方は、口の周辺に傷があるときはやらない。

 ◆ その他の蛇

  ヤマカガシ

  ● マムシよりも猛毒を持つ

 ヤマカガシは毒がないとこれまでいわれてきたが、1972年の兵庫県宝塚市で中学生がヤマカガシに咬まれて死亡している。今では、ヤマカガシは毒蛇と確認されている。日本の毒蛇は、ハブ・マムシ・ヤマカガシの三種類で、毒の比較では、ヤマカガシの毒は、ハブに対して8倍、マムシに対して4倍あると。ヤマカガシに咬まれたときは痛みがあるが、マムシのように腫れたり痛みがあったりはしない。ただ、体内に入った毒によって、歯茎や傷口などからの出血がつづき、激しい頭痛が見られる。

   ● ヤマカガシの天敵

  最たる天敵は人間・マムシと同じ蛇食性の動物・イヌワシ・クマタカ・シマヘビ・アオダイショウ・イタチ・タヌキ・キツネなど。

   ● 何を捕食する

  ネズミは捕しない。カエル・オタマジャクシ・小魚・ドジョウ・ヒキガエル・トノサマガエルなどを食べる。

   ★ アオダイショウ

  ● 無毒

  シマヘビとアオダイショウには毒がない。しかし、必要以上に触ったり刺激を与えると咬まれることがある。つまり、堪忍袋の緒が切れたときだ。咬まれても毒がないが、手や指がパンパに腫れあがることもある。主食は、鳥の卵や哺乳類を食べ、幼蛇のときはトカゲやカエルなどを食べるので、口内には雑菌などがあり、咬まれたときにそこから雑菌が入り、咬まれた付近が腫れたりすることがある(幼蛇は、マムシに似ている)。要するに、蛇には毒があろうがなかろうが、無粋にふれたり刺激を与えないようにすること。

  ● アオダイショウの天敵

  天敵は、やはり人間が第一番目で、イヌワシ・タヌキ・キツネ・イノシシ・ネコなど。幼蛇は、ネコ・カラス・シマヘビなどがある。

 

 

 

    

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